食事を作るときのもっとも基本的なことを書いてみました。毎日々々食べる食事ですから、きちんと考えて、一生続けられる食べ方をして欲しいと思います。
１） 油脂と甘いものを少なくした和食を基本にしましょう。
油脂と甘いもののとりすぎが病気を起こさせています。米と野菜を中心に油脂と甘いものは控えた食事が健康を保つための第一歩になります。
２） 野菜を煮た汁物、味噌汁を毎日の食事の中に取り入れましょう。
野菜を煮た汁には活性酸素を抑える力があります。朝と夕の食事には必ず野菜を使った汁物を食べましょう。土が付いた新鮮な野菜を洗って切って汁物にする習慣をつけましょう。野菜からだしが出るように２〜３品以上の野菜を入れるようにしましょう。野菜に付いている乳酸菌がお腹の状態をよくします。野菜を乳酸菌で発酵させた漬物（ぬかずけ、たくあん漬けなど）を適度に食べましょう。
３）アレルギーの原因食品は食べないようにしましょう。
アレルギーがある物を食べると、食欲が落ちるため、化学調味料で人工的な濃い味付けをした加工品を食べるようになり、さらにアレルギーは悪化していきます。アレルギーのある食品は食べないようにしましょう。
４）同じ食品を毎日食べることはさけて、さまざまな食品を食事にとりいれましょう。アレルギーを起しやすい食品は、一日食べたら、４〜５日お休みする回転法で食べるようにしましょう（多くても週２〜３回程度にする）。表のアレルギーを起しにくい食品の中にも個人差があり、過敏な人もいるので、症状がでたものはチェックしておきましょう。
５）汚染された油脂を含む食品はなるべく食べないようにしましょう
脂の多い魚や魚卵、肉の脂、家畜の肝臓、牛乳・チーズ・バターなどの乳製品、卵およびその加工品など環境汚染物質が蓄積しやすい食べ物は食べないようにします。油脂に蓄積されたダイオキシン・PCBやDDTなどの脂溶性環境汚染化学物質はアレルギー反応を制御する力を弱め、アレルギー性疾患を悪化させます。牛乳・チーズ・バターなどの乳製品、卵、獣肉油脂は女性ホルモンを含有しているため、免疫を女性化し、アレルギー疾患を悪化させます。
６）植物性油（特にリノール酸の多く含まれる油、なたね油）は少なめに使うようにしましょう。
炒める、揚げる調理法は減らしましょう。煮る、蒸す、焼くことを充分に活用しましょう。生野菜に油の入ったドレッシングはかけないようにしましょう。天然の塩、味噌、醤油、酢、みりん、酒、各種スパイスなどを活用します。油をつかう場合は、大豆油の混入のないアレルギー用の良い油を使うようにしましょう。ＰＣＡ検査合格品は確実です。
７）なるべく防腐剤防カビ剤、合成着色料、発色剤、漂白剤、人工香料などの食品添加物の使用されていないものを食べるように努力しましょう。
８）旬のものを食べ、季節を感じる食べ方をするように努力しましょう。農薬の使用の少ないものを選ぶようにしましょう。旬のものは農薬も少なくなっています。句からはずれて生産される作物は農薬の使用が多くなるので注意しましょう。
９）なるべく自然に近い状態で汚染の少ない飼料で育てられた豚肉や地鶏、魚を食べるようにしましょう。養殖魚や過密飼育された動物の肉は、配合飼料の汚染、薬物のためにアレルギーを起こしやすくなっているので注意します。
10）防カビ剤・殺虫剤などの薬品や農薬の残留が多い輸入食品や遺伝子組換え食品はなるべく食べないようにしましょう。輸入小麦に残留する有機リン系殺虫剤は神経を刺激してアレルギーを悪化させます。
11）化学調味料は味覚をマヒさせてしまうので使用しないようにしましょう。素材のもつ味を味わえるように素材の味を大切にうす味で調理しましょう。
12）塩は様々な塩（ミネラル）が含まれる天然の塩（海水から作った天塩や岩塩など）を使うようにしましょう。
これらの塩は食べ物のうまみを十分に引き出します。また、化学的に作られた塩のＮａ（ナトリウム）やＣｌ（塩素）の摂りすぎの害を軽くします。砂糖、塩は控えめに使いましょう。だし、しょうゆ、みそ、みりん、酒、酢、ケチャップ、トマトピューレ、ウスターソース、スパイスなどをうまく使用しましょう。
13）カルシウムを適度に補給するため、十分な量の野菜類、海草、小魚などを毎日の食事のなかにきちんととりいれるようにしましょう。
14）果物は季節のものを、季節を味わいながら、農薬の汚染が少ないものを選んで食べすぎないように食べましょう。ジュースにすると一気に飲んで多量になってしまうため、皮をむきながらゆっくり食べるようにしましょう。
15）地元で生産された、句で新鮮なものを食べるようにしましょう。
16）ハレの日（誕生日などお祝いの日）とケの日（普段の日）をきちんと分けて、毎日がハレの日にならないようにしましょう。
17）献立を考えるときの順番―まずは主食となる米を食べることを考え、次に味噌汁などの汁物を、次に漬物やおひたし、煮物を考えます。お金があって、汚染の少ない、いいものが手に入ったら肉や魚を食べるようにしましょう。メニューに困ったら、冬は鍋、夏は冷シャブにするといいでしょう。
アレルギーを起こしにくい食べ方をまとめておきましょう。基本は、米や煮た野菜・野菜の汁物を中心として、米や大豆の発酵物を取り入れた和食です。食事の内容を決める場合、いままでの栄養指導では、魚にするか肉にするかを選び、その後に副食を決め、ご飯にするか、パンにするかを決めるように教えられてきました。しかし、アレルギーを予防して、健康を維持するためには、まず米を食べることを考え、野菜たっぷりの味噌汁を作り、漬物とお浸し、少量の果物、野菜の煮物を作り、汚染が少ない肉や魚が手に入ったら食べることが大切です。ただし、玄米は外側が汚染されやすいので、無農薬で栽培された玄米を探し、玄米の外側を削った分づき米（3分づき米、５分づき米、7分づき米、胚芽米、白米）食べるほうが汚染を軽くできます。ただし、3〜7分づき米は油が酸化しアレルギーを起しやすいので、自宅で精米機を購入し、精米直後に食べることが必要です（削った糠部分に汚染が強いので糠クズを吸い込まないように、また、子供の体につかないように注意）。米のアレルギーがひどい場合は白米を食べることになりますが、白米を食べることで不足しがちになるビタミンB1は、汚染がない餌を食べて健康的な環境で育てられた豚の肉を食べることで補充できます。魚を除去する場合は、魚から摂取しているビタミンDを、他の食品から補給する必要があります。豚肉、きのこ類（生しいたけ、えのきたけ、なめこなど）に含まれています。干しシイタケは豊富にビタミンDを含んでいるので、だし汁や料理に利用するようにしましょう。乾燥キクラゲには、とくに高濃度のビタミンDが含まれるため、時々使うようにしましょう。
食事のときに気にかけてほしいこと
１）家族全員で取り組むようにしましょう
子供だけ特別食にしないで、全員で同じ内容の食事にしましょう。子供は両親、兄弟の食べるものをみて、ほしがり、食べ、食欲が育っていきます。また、体質は親子、兄弟で似ていることが多いため、いっしょに食事に注意することが家族全体の健康を向上させることにもなります。
２）父親も他の兄弟も本人も食事作りに参加するようにしましょう
料理を作るなかで食事への興味がわき、自分で食べられるもの・食べられないものを選択するカがついていきます。また、自分が手をかけたものはおいしいものです。みんなで作ることで家族の絆が強くなります。食べたい物を我慢するだけでなく、食べたいものを、みんなで工夫して作って食べる楽しい雰囲気と感覚を体験しましょう。
３）食べる物が何からどのようにできあがり、口にはいるのか、何を食べなければいけないのか、何を食べてはいけないのかなど子供たちが自分ひとりで判断できる力をつけられるように、食べ物のいろいろな話をしながら食べるようにしましょう。
４）なるべく家族全員で食卓をかこみ、楽しいふんいきで食べられるようにしましょう。
５）よくかみ、充分消化できるようにしましょう。
６）よくあそび、余分な間食をさけ、健康な空腹感と食欲で食べられるようにしましょう。
７）さまざまな食品を食べる努力をして、味覚を育て、何でも味わって食べられるようにしましょう。酢のものやにがみのあるものも食べられるように、赤ちゃんのときから、少しずつ食事の中に取り入れるようにしましょう。
アレルギーっ子の食事作りにあると便利な道具
1）すり鉢とすりこ木：芋をつぶしたり、ゴマをすったり、魚のスリミを作ったりと昔ながらの台所の友です。
2）フードプロッセサー：混ぜる、刻む、おろすなど何でもできる機械です。調理時間がかなり短縮されます。
3）オーブン：手作りおやつ、おかず作りと油をあまり使わずに焼くことができます。
4）ポテトマッシャー：イモやカボチャなどをすばやくつぶせます。
5）ミンサー： 肉をミンチ（挽肉）する機械。挽肉で買ってくるとほかの肉が混ざっている場合があります。また、どんな肉を使っているのかもわかりません。選んで買ってきた肉を自宅で挽肉にするのがアレルギーっ子の食事作りでは当たり前。ミンサーは一家に１台は必要です。
6）その他 ミキサー、オーブントースター、スープ用鍋など
アルツハイマー（老人性痴呆症）との関係もあり、なるべくアルミニウムの調理器具は使わないようにしましょう。
テフロン加工（フッ素樹脂加工）のフライパンは250〜300℃以上に過熱すると有毒ガスが発生するので注意。
